労働問題 - 天満橋プラス法律事務所
残業代請求、未払賃金・退職金請求、不当解雇、セクシャルハラスメントの被害回復といった労働問題に対応いたします。 できるだけ早い段階でご相談いただくことで、早期解決を目指すことが可能です。
一例としてサービス残業の場合について手続の流れのご説明をします。
弁護士が労働問題を解決いたします
サービス残業
サービス残業とは、残業(時間外労働,深夜労働,休日労働)に対し、(割増)賃金が支払われないケースを言います。
サービス残業は下記の法律に違反している可能性があります。
1 労働時間・休日規制違反
使用者が残業をさせていること自体が,労働時間(労基法32条,119条1号)や休日(労基法35条,119条1号)に関する規制違反となりえます。
ただし,時間外労働・休日労働について,あらかじめ使用者と労働者の間で書面による協定を結び,労働基準監督署に届け出た場合は,協定に定めたところによります(労基法36条)。
2 賃金規制違反
使用者は,労働者に対し,残業について割増賃金を支払わなければならなりません。
残業代の割増賃金率は原則として以下のとおりです(労基法37条)。
時間外労働(法定労働時間を超えた労働) 25%割増
時間外労働(1か月60時間を超えた延長) 50%割増
深夜労働(午後10時から午前5時までの労働) 25%割増
休日労働(法定休日の労働) 35%割増
時間外労働(法廷時間外)+深夜労働 50%割増
時間外労働(1か月60時間を超える延長)+深夜労働 75%割増
休日労働+深夜労働 60%割増
サービス残業の強要に対する解決策としては以下の対応が考えられます。
1 労働組合の利用
労働時間・休日に関する規制の遵守や,残業代の支払いについて,労働組合を通して使用者と交渉する手段があります。ただし、そもそも会社等に労働組合が存在しない場合は利用できませんし形骸化している場合も効果が期待できません。
2 労働基準監督署への申告
労働時間・休日に関する規制の遵守や,残業代の支払いについて,労働基準監督署に申告する方法もあります(労基法104条1項)。
ただし,労働基準監督官により必ず調査が行われるとは限りません。
監督官の調査が行われ,労働基準法違反が認められた場合,監督官は使用者に対し是正勧告をしますが,是正勧告は行政指導であるので法的な強制力はありません。
3 残業代請求
労働者は,使用者に対し,残業代の支払いを請求することができます。。ただし,賃金(残業代)請求は2年間の消滅時効にかかる(労基法115条)。なお,2020年4月の改正民法施行に伴う労働基準法改正により,今後、賃金請求の消滅時効期間が5年に変更される可能性があります。
4 交渉、あっせん手続、労働審判、訴訟
(1)使用者に対し請求する場合、任意の交渉から始め、解決が難しい場合は他の手続を利用すべきことになります。
(2)まず、各都道府県の労働局の紛争調整委員会によるあっせん手続などのADRも利用できます。ただ、和解ができない場合はあっせんが打ち切られてしまいます。 ※ADR:裁判外紛争解決手続
(3)次に、労働審判手続もあります。労働審判とは、裁判官1名を含む労働審判員3名で構成される労働審判委員会が事件を審理し、調停を試みた上で解決が難しい場合は労働審判を下す手続です。原則として、3回以内の期日で審理が終結し迅速に手続が進行する点が特色の1つです。 ただ、個人・会社間の対立が激しく争点が多岐にわたる場合は3回の審理で終わらない以上、労働審判は向きません。
(4)このように他の手続での解決が難しい場合は、訴訟により解決することになります。